わたしのおすすめ本 by 辻和子
河合隼雄『こころの処方箋』 1998 新潮文庫
この本は、みなさんがよくご存じの心理学者です。項目に「灯を消す方がよく見えることがある」の中で何か問題があると、目先の解決を焦って灯をあちらこちらとかかげて見るのでなく一度それを消して、闇のなかで落ち着いて目をこらすことである。不安にかられて、それなりの灯をもって、うろうろする人に対して灯を消して暫らくの闇に耐えてもらう仕事を共にするのが心理療法家の役割。闇のなかに目をこらして遠い目標を見出そうとする勇気は誰にとっても、人生のどこかで必要なことと言っていいのではないか。と書いてあり、精神科に勤める私、私自身の生き方、人との関わりに、こんな考え方・こんな見方をすることなのだと、感銘しましたところです。研究会以外の方にお勧めです。
こころの処方箋 (新潮文庫) 河合 隼雄 新潮社 1998-05 |