私とカウンセリング 66

私とカウンセリング by 青山高志


私は20歳頃、突然、視界が真っ白になり、両目とも白内障の手術を受けました。原因は不明と聞かされました。当時、若年性白内障のケースで眼内レンズを適用する症例が少なく、安全性が確立していないという事で、コンタクトレンズとメガネを使用すれば、一応、社会適応できると言われ、生活上は不便でしたが、「まだ見える」という実感があり、手術や処置などを4回ほど受けながらも、不安を乗り越えてきました。
しかし、生活のため仕事を続けていく上で、いつ視力が悪くなっていくか分からないことを考えると、「仮に目が不便でもやれる仕事」とよく思い悩んでいたものでした。このように、視力低下や失明の不安が意識的にしろ無意識的にしろあってか、「カウンセリングの仕事であれば、多少、目に不自由があってもやれるのではないか? さらに、自分の内面的な成長や、日常の場においても、あらゆる人間関係の中で心理学は役に立つのではないか?」という思いつきで、23歳頃からカウンセラーになることを目指し始めました。もちろん、心の根底には両目の不安があったので、心理学を学ぶことは自分のメンタルヘルス上の心理的防衛でもあったと思います。
そうでありながらも10年以上の歳月が流れ、いつも心中では、「40歳代に入ってからカウンセラーになれば、自分としては丁度いい時期だろう」という思いで勉学に励んできました。ところが、34歳頃にコンタクトレンズの長期間使用による角膜障害が現れ出し、手術でも限界があり出来ないとと聞かされ、「こんなに早くも目が悪くなってしまうとは…」と想像以上にかなりの絶望感をうけました。
それから、2年ほど時が流れ、今の自分がいるのですが、目が見えにくくなってからというもの、読書すら億劫で、以前の様には勉強もできず、ぼやけた世界の中で、何となく世間を眺めているような日々が過ぎています。
それでも今こうしてカウンセリング関係の仕事に就けているという現実はあるわけで、「まだ目が見えるうちはカウンセラーとして働けていられたら幸運だ」という思いで、感謝の念を抱きながら、ありがたく仕事をさせていただいております。