私とカウンセリング 58

私とカウンセリング by 佐藤明美


私と心理学との出逢いは、V.Eフランクルの「夜と霧」という本にあります。
オーストリア生まれの精神科医フランクルは、第二次世界大戦中のナチス強制収容所での体験を基盤に「実存分析」を創始しました。高校時代に内的な生きづらさを抱えていた私は、フランクルの冷静で鋭く、そして愛と智恵に満ちた文章を読み「生きる力」をもらいました。
その後、精神科ソーシャルワークや心理学を学び、大学院ではユング派の心理療法(ユング分析心理学)を学びました。スイスを本拠地とするユング派の分析家になるためには10年以上の訓練が必要だと言われています。結局、大学院の2年間は深層心理学の理論や夢を用いて、自分の無意識の世界を探求することで精一杯でした。
現場に出てからは、通所リハビリで鬱や痴呆の方への風景構成法やコラージュなどの芸術療法やカウンセリング。その他、よろず相談やターミナル期の患者様とご家族へのサポート等を行ってきました。
最近では、保育園での発達相談や問題のある子どもへのプレイセラピー、母親支援などを担当していますが、心理療法導入以前のケースワーク的な作業が多いのも現実です。クライアントにとって効果的な援助を行うためには、複数の専門職の協働が必須となる場面も多く、専門職同士の橋渡しをするのも臨床心理士の重要な役割だと考えています。
もちろん、就学前の乳幼児の「こころの状態」を理解し支援するためには、絵画や音楽・箱庭などを使ったセラピーをすることもあり、ユング心理学で学んだ感覚が役に立っています。
一方で、言葉を使ったカウンセリングには苦手意識があります。清原先生、鹿児島カウンセリング研究会の皆様との出逢いをきっかけに、ナラティヴセラピーやロジャーズのカウンセリングの勉強にも力を入れていきたいです。何卒、宜しくお願い致します。