わたしのおすすめ本(43)by 中野則昭

田村秀著「道州制・連邦制―これまでの議論・これからの展望」ぎょうせい刊 2004 ¥3000


 「道州制・連邦制」の問題は,決して新しいことではなく,1927年田中義一内閣時に,すでに提案され,その後,繰り返し議論されている問題である。
 最近この問題がメディアで取り上げられ,クローズアップされているのは,国・地方の財政危機により,行政のスリム化を求める動きが強まっているからだ。すでに,青森県・岩手県・秋田県の知事は,3県の道州制について合意しており,今後,各地域ごとに議論が続出することは間違いない。
 一方,国民は100年以上の歴史を持つ47都道府県になじんでおり,道州制や連邦制について,何がどう変わり,国民生活にどのような影響があるのか,今のところ,理解できていない。しかし,自由民主党も民主党も道州制を党の政策に掲げている以上,これからは,政治の場で議論されるはずである。
 このような情勢の中で,本書は,
1. 現在の都道府県制度ができるまでの歴史,現在の憲法の中での都道府県の位置づけ,さらには,現在の都道府県の政治・経済の実態
2. 今までに都道府県改革について提案され,議論された内容を時代をおって解説し,その特徴を紹介
3. 諸外国の過去30年間の自治体改革として,再編に再編を重ねているイギリス,あまり改革していないアメリカ,広域自治体の改革を実施しているフランスやイタリアの例を紹介
4. 道州制・連邦制のメリットとデメリット及び今後の展望
の4場面で構成されている。
 この問題は,国民生活に直結することであり,国民の一人として,無関心でおる訳にはいかない。「今後,日本がどのように変わっていこうとしているのか」を考えるのに参考になる著書である。

道州制・連邦制―これまでの議論・これからの展望
道州制・連邦制―これまでの議論・これからの展望 田村 秀

ぎょうせい 2004-10
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