わたしのおすすめ本 127

わたしのおすすめ本 by 永里美紅

かんもくネット著/角田圭子編 「場面緘黙Q&A」 学苑社 1900円+税

去年の7月、現在の仕事を初めて2ヶ月が過ぎようとしている頃、場面緘黙の状態にあった生徒と関わる機会がありました。本人は進学を希望しているので、別室で面接試験の練習をするというものです。「はじめまして」から関係を作っていく段階だったので、何をどうしたらよいか悩み、まずバイブルとして手に取ったのがこの本でした。

かんもくネットとは、「場面緘黙児支援のための情報交換ネットワーク団体」です。保護者、教師、緘黙経験者、心理士等が情報交換を行い、米国の治療機関や研究団体の協力を得て、場面緘黙児支援に役立つ情報をウェブ上で公開してきました。それをもとに保護者や教師の具体的な実践例も含めてまとめられたのがこの本です。

「明日すぐにでも実践できるヒントが欲しい!」と思っていた私にはうってつけで、夢中で読みあさり、試行錯誤の毎日が始まりました。具体的なアイディアや実践例が細かく書かれており、会話の様子等も含めその場がイメージしやすく、大変役に立ちました。実践者、経験者の語る言葉の強みだろうと思います。「スモールステップを用意するときは7割以上成功が見込まれる場面設定を心がける」「大切なのは、楽しく人とコミュニケーションがとれた経験を積み重ねること」「子どもが発話できるかどうかは、子どもの不安の状態とその時の「人」「場所」「活動」などの細かい条件で、決まってきます」等、場面緘黙だけに限らず、子どもの支援をするにあたり心に留めておくべきことをたくさん教えてもらいました。迷った時に読み返せる、おすすめの本です。

 

場面緘黙Q&A―幼稚園や学校でおしゃべりできない子どもたち
場面緘黙Q&A―幼稚園や学校でおしゃべりできない子どもたち かんもくネット 角田 圭子学苑社 2008-03
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