私とカウンセリング by堂原洋子
前回は授業に追われて学生相談を蔑ろにしていると嘆いているような内容を書いていました。その状態は今も殆ど変っておらず、あまり進歩していないな~としみじみと自分の状態を振り返っています。しかし、学生との関わりにはカウンセリングの心や技術は利用させてもらっていますので、やはり有難いな~と思っています。
一般的に大学の相談室で明らかに変わり始めていることは「発達障害」の学生に対する取組です。2005年4月に「発達障害者支援法」が施行され大学においても教育上の配慮を行うことと定められ、その後2006年には「障害のある人の権利に関する条約」、2011年には「障害者基本法」の施行、そして、2012年には文部科学省高等教育局から「障がいのある学生の修学支援に関する検討会報告(第一次まとめ)」が公開され、大学が障がいのある学生に提供する合理的配慮の在り方についての考え方が示された。また、2013年6月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が内閣委員会で可決されたという背景があるからだと思われます。実際、最近の統計から学生相談室の相談内容で最も多いのが発達障害を原因とするものであり、人生についてとか生き方についての相談は本当に少ないのが現状だといわれています。
上記のようなこともあってか、つい最近も鹿児島大学で大学教員を対象として、「発達障害学生の理解と授業支援を考える」という研修会もありました。相談室担当の教員だけでなく一般の教員にも理解や支援が求められるようになってきています。
私も毎年数名、この学生はもしかして?と思う学生に出会います。自ら自分は他の人と比べてちょっとおかしいような気がすると相談室を訪れる学生もいますが、大抵は周りの学生の方がいろいろ気になっているが、本人は何も困っていない(こちらはさりげなく声掛けをします)ということが多いような気がします。
現在、学園際前で学内は落ち着かず、また、2年生は毎日誰かが就職試験や編入試験という状況であり、それに伴い推薦書や人物保証書の作成に追われており、「私とカウンセリング」についてもじっくりと思い巡らすこともできませんが、ただ、気になっていることは、このように発達障害と気づかれずに大学に進学してきた学生がいるということは、皆さんが関わっておられる中高生の中に潜在しているのだろうなと思っています。その視点で生徒達に関わると早期発見になるのかもしれないと思うこの頃です。