わたしのおすすめ本 by 竹之内麗子
発達障害という言葉に出会うと,その特性は千差万別であるだろうということは理解できるが,電話相談で対応するとしたら,どういうことに気をつけたらよいだろうかと,そこに視点をおいて読んだ。
花園大学心理カウンセリングセンター監修『発達障害との出会い − こころでふれあうための一歩』 創元社 2010 2,100円
発達障害に対する見方の時代的変遷
• 相互関係の中からあらわれること 〜 アスペのA君ではなく,こういうことに集中できるA君と見る。
• 何のためのプログラムか,誰のためのマニュアルか 〜 対象に合わせて柔軟に工夫するセンス
• その人の今にあったかかわりかた 〜 自分の歩幅で歩むことができる課題の提供
一人ひとりと向き合うということ
• 努力のほどを慮(おもんばかる)る 〜 崩れたり,大変な状態になりそうなのを防ぐための行動という見方も必要
• わたしとあなたの間の言葉 〜 さりげなくきめ細やかなことば添えが大事。「分かった?」では駄目
• こちらの土俵とあちらの土俵の中間地帯 〜 相手の世界を想像して,その場に即し,工夫して対応
• わからなさのなかでつながる 〜 わからなさ,不確定な状況に耐えて,次への工夫につなげる
• かかわりかたの創意工夫 〜 子どもの問題を子ども個人の特徴からだけ考えず,生活場面で考える
• 生きやすくなるために 〜 生きていく暮らしの知恵に専門的な知識をリンクさせることが大事
• 共同援助者という自覚 〜 できそうなものを一緒に考え,目標を共有しながらかかわっていく
• 家での日常生活の大切さ 〜 排泄,食事,生活のリズムなどに対する注意をむらなく
• きょうだいへの配慮 〜 みんなにバランスのとれた目配りがあったはじめて,仲よく暮らせる
発達障害との出会い こころでふれあうための一歩(花園大学 発達障害セミナー 1) (花園大学発達障害セミナー) | |
田中康雄 十一元三 亀岡智美 村瀬嘉代子 花園大学心理カウンセリングセンター
創元社 2009-12-15 |