私とカウンセリング by 国重浩一
今翻訳に取り組んでいます。本の下訳はすべて完了し、校正を進めているところです。翻訳等作業を通じて、言葉の難しさを再確認しているのですが、言葉のおもしろさも感じることが出来ています。
理科系の私にとって、文系の教科が興味の対象となることはほとんどありませんでした。国語のテストを受けても思ったように点数が取れないし、英語も自分の領域のものであると思ったことはありませんでした。
言葉のおもしろさとは、その場で言いたいことをしっくり言葉で表現できたときの、うれしさ、気持ちよさです。それは、いくつか言葉を並べてみて、「ああ、これだ」と直感でわかる言葉もあります。また、しばらく使ってみて、その言葉になじむことでそのことを感じることもあります。
このような話をある女性クライアント(20歳)としていたら、それを実感するときがあったと報告してくれました。それは、自分のことを四字熟語で表したら何になるかということでした。自分の母親は、「一喜一憂」だそうです。そして弟は、「入口も出口もわからない状態」なので、「五里霧中」なのだそうです。肝腎の本人は、「入口はわかったのだが、出口が見えない」ので、「暗中模索」なのだそうです。
このように自分の状態を言葉で表現できることは、大変重要であるとつくづく感じた次第でした。
ちなみに今訳している本は、ナラティヴ・アプローチを活用した「調停」についてのものです。調停という形式張ったものだけでなくとも、学校と保護者、職場内で、など第三者が間に入って、話を推進していく必要性が生じる場合があります。このようなときに、どのように振る舞い、どのように話を持っていったら良いのかについて、行き当たりばったりではなく、技術として習得しておく必要があります。そのような必要性を感じる人の良いガイドになればいいなと思って、翻訳を進めている次第です。