わたしのおすすめ本 77

わたしのおすすめ本 by 中野則昭

曽我晶棋、日下菜穂子「高齢者のこころのケア」 2006年 金剛出版  2800円+税

 歴史上類を見ない高齢社会を迎え、社会保障制度の整備を急がねばならない今日、高齢者が存在感を持ち、活き活きと生きる社会建設こそ、今の政治に求められている最大の課題であると考える。

しかし、現実は否応なしに訪れる心身の機能的・器質的変化に伴う苦悩、いつ襲ってくるか分からない死への不安、さらには、社会的価値観の多様化、家族制度の崩壊(?)等によって、高齢者が安心して住める社会とは程遠いと言うっても過言ではない。

このような状況の中で、高齢者臨床の実践者のために「こころのケア」という側面から理論と実践を精神科医・臨床心理士・介護士・看護士がそれぞれの立場から叙述している。

第一部では

「高齢者の身体的・精神機能の特徴と心理療法」の紹介として、問題行動を減らす行動療法や対人関係を改善するための「集団絵遊び」、社会性を高めるための「グループ回想法」やこころを充たす「音楽療法」さらには、高齢者を支える「家族療法」等について実践例をあげている。

第二部では

「高齢者支援における心理的介入」の実際的な問題について「介護施設」「介護スタッフのストレス解消」「介護家族のこころのケア」や「末期がん患者に対するこころのケア」等を取り上げ、実際的な問題について述べている。

いずれにしても、高齢者の存在感・喜び生きる姿に視点を当て、そのためにどのような援助が必要かを理論と実践の両面から分かりやすく書かれた著書であるといえる。

 

 

高齢者のこころのケア
高齢者のこころのケア 曽我 昌祺

金剛出版 2006-04-28
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