私とカウンセリング by 中野
私が心理学を勉強しなけねばならないと痛感したのは,昭和39年に仲良し学級担任になってからである。
以来,学校の進動機構の中では,教育相談係や生徒指導主任に位置付けられることが多く,校内で起きる様々な問題について,教師や保護者から相談を受けることが,他の教師より多かった。
最初のうちは、教師という立場上,指導する・教える・諭すというような自分の考えを押しつけるという,カウンセリングの精神からかけ離れたものだった。しかし,講師を招いた校内事例研究会を実施するにつれて,特に心に問題を持つ児童についての対応は,次第に変わってきたように思う。
特に,就学適正指導について保護者と面談するとき,保護者の話に耳を傾け,共に悩み,苦しみながら,結論を急がず対応しなければ,信頼関係も生まれず,問題解決に結びつかないことも体験した。
このことは,現在私達が取り組んでいる,心に問題を抱えるクライエントに対し,心理学を基礎にしながら,専門的な知識によって,援助するのと共通するものである。
私達は,医療機関の現場で働く心理職や看護師さん,学校内で起きている様々な問題に取り組む教育相談員,職業としてのカウンセラー等,いろいろであるが,カウンセラーに求められている資質向上のために,常にクライエントから学ぶ謙虚さを持って頑張りたいものだ。