私とカウンセリング 54

私とカウンセリング by 森永繁郎


初めて教壇に立った日
大学(農学部)4年の9月に県北部のM高校での2週間の泊まりがけで初めての教育実習に参加しました。おなじ県内とはいえ見知らぬ土地で,なじみのない高校生との出会いでした。どのような気持ちを抱いてバスに揺られて行ったのか。ただ,同期生が10名ほど一緒だったので心強かったのか不安な気持ちを持った記憶はなく,夕食後,宿所の広い座敷にずらっと布団を敷き並べたところで花札に興じる者,語り合っている者,指導案を書いている者と,夜遅くまで,大変だったけれども楽しかった光景が脳裏に浮かびます。
2・3日目にいよいよ教壇に立つ日がやってきました。教室の後で心配そうに見ている同期生,担当の先生,生徒たちの射るような目・・・とにかくアッという間もない50分間でした。教壇をおりたらあまり年齢の差がない生徒たちが「先生,汗びっしょりだよ」と寄ってきました。その時はじめて気がつきましたが,シャツの背中はびっしょり濡れていました。運動以外であんなに大汗かいたのは生まれて初めてのような気がします。その後何回か授業を経験しました。緊張の中にも休み時間は生徒たちと野球遊びをして楽しい時間でした。この実習の時の充実感が後に教師への道を歩ませるもとになったように思います。この頃はまだ教師になろうといった積極的な気持ちはなく,教員採用試験は受けてはいましたが就職が冬の時代でしたので大学の卒業式の日には教授の世話で兵庫県の会社で働いていました。夏休みに帰省して教員採用に合格していたことを知り,2年間働いた後,3年目に気持ちに整理をつけ退職する決心をしました。採用試験に備えるために早めに2月に退職帰鹿,教員免許状をもらいに大学に行ったら物理が1単位不足ということでしたので聴講生になり単位取得,免許交付,幸い試験を待たずに年度途中の10月に採用されて県北部の中学校に赴任しました。年度途中でしたが交代して1年生を担任,その生徒たちも来年3月は定年退職を迎えます。以後28年間連続して担任を続け,8名の不登校生との出会いがありました。この出会いが私を教育相談員,清原先生との出会い,心の教室相談員さらにスクールカウンセラーへそして皆さんとの出会いとつなげることになりました。時々(?)ほ(穂)がないことを言いますからよろしくお願いします。