私とカウンセリング by 下舞久恵
大学院を修了し、現場に出て2年が経とうとしています。1年目は、児童相談所で判定員として仕事をしました。田中ビネー知能検査を行い、保護者の話を聞き、基準に沿って療育手帳の程度判定をする。最初は、決められた業務をするのに必死でした。毎日、初対面の方の話を聞くというのは初めての経験で、面接室の扉の前に立つたびに緊張しました。児童相談所には、相談者の記録ファイルがあります。そこには、保護者の悩みや葛藤、子どもの課題など、相談者の成長過程の一部が記録されています。手帳を取得して児童相談所へ更新に来るたびに、そのファイルは少しずつ厚くなっていきます。面接に入る前にその記録に目を通していると、相談者やその家族が歩んできた道が垣間見え、自分が行う判定の重みを感じずにはいられませんでした。
2年目の今年度は、市の相談室で相談員として仕事をしています。決められた業務を決められた基準で行っていた1年目に対し、2年目ははっきりと決められた業務は無く、自分で仕事を見つけていかなければなりませんでした。“言われた仕事をする”という受け身な仕事のやり方を身につけていた私にとって、不安や戸惑い、苦しさを感じる毎日でした。けれど、その中で得られた気づきがたくさんありました。連携していくために、普段の姿勢や態度、コミュニケーションが大切であること。周囲にアンテナを開き、些細な変化にも気づけるようにすること。先を見通して物事を捉え、行動しなければならないこと。考えたり壁にぶつかったりしながら、これまで知識として知っていたことを実感することが出来ました。
自分の仕事について振り返るとき、面接技術の未熟さや気づきの浅さ、見通しの悪さなどの課題に目が向き、自信がなくなります。そして、すぐ誰かに判断を仰いだり弱音を吐いたりして頼ろうとする自分がいます。経験の無さや未熟さを理由に逃げず、自分にできることを必死にしていきながら、私のカウンセリングについて考えていきたいと思います。