わたしのおすすめ本 131

わたしのおすすめ本 by 国重浩一

向谷地生良・伊藤伸二著 『吃音の当事者研究: どもる人たちが「べてるの家」と出会った』 金子書房 2013年 2,160円

吃音(きつおん)、つまり「どもる」という症状についてはたいへん昔から知られてきました。そして、その解決方法もいろいろと検討されてきたものです。ところが、「どもり」を治療または訓練によって、どの程度改善できるものなのか、あまり理解されていないのではないでしょうか。

伊藤伸二さんは吃音の当事者であり、日本吃音臨床研究会で吃音に悩む人びとへの支援を行いながら、吃音への理解を広めようとしています。

さて、「治療」や「訓練」でどれほど「治る」ものなのでしょうか? 伊藤さんは、ほとんどまったくと言っていいほど治っていないと言います。治らないのであれば、「どもり」と共にどうやって生きていくのかについて、考えていく必要があるのではないかということを考えなければなりません。伊藤さんのグループは、そのことについて取り組もうとしているのです。

そして、「当事者研究」という言葉が大きな意味を持ってくるのです。この当事者研究の意義をこの本から学び取ることができるのではないかと思ったところです。

 

吃音の当事者研究: どもる人たちが「べてるの家」と出会った
吃音の当事者研究: どもる人たちが「べてるの家」と出会った 向谷地 生良 伊藤 伸二

金子書房 2013-09-23
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