滝川一廣著 『「こころ」の本質とは何か―統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ』 ちくま新書 740円+税
研究会で『パーソンセンタード・カウンセリング』について学んだ時に、プリセラピィの理論について触れましたが、私は病院に10数年勤務していることもあるためか、すごくこの章が心に残りました。妄想や幻聴を訴える患者様のことば、気持ちを聞き流し・見過ごしている自分に気づき、一人の人間として向き合うためには、…と思い悩んでいた時に、手に取ったのがこの本でした。
この本は、「人間学アカデミー」という連続講座の講義録をもとにしたもので、精神医学とは何ぞやということから、統合失調症、精神遅滞、自閉症、不登校のそれぞれに焦点を当てて、それぞれのこころの世界について書かれています
「人間は、まわりの世界を「意味」や「関係」の世界として統合づけて、他人と共有できる形にとらえ直している。統合失調症の人は、揺らいだ共同世界の修復の道を懸命に歩もうとし、自閉症の子は、共同性へゆっくりながら歩み入ろうとする」というは、ずっしりと心に響き、今までモヤモヤしていたものが少しスッキリしたように感じました。原点に立ち返る一冊の本です。ぜひご覧ください。
「こころ」の本質とは何か ――統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ シリーズ・人間学〈5〉 (ちくま新書) | |
滝川一廣
筑摩書房 2014-01-17 |