私とカウンセリング by 弓塲隆子
私の本務は31名の女子大生に朝食と夕食を提供することである。
19才~22才までの見目麗しく元気溌剌のお年頃の31名から元気を頂くことが多い今日この頃である。然し、時たまカウンセリングで学んだことが役立つことがある。
その一つとして、特異な事例を紹介し、現代社会の危うさにどのように対処していけばよいのか検討していただけば幸いである。
《退寮に至った1年女子(Aさん)の例》
Aさんは、入寮式の時から印象的であった。入寮式が終わり、母親が帰ろうとすると泣き出したのである。そんなことがあったので毎日の声かけに努めた。
「何か困ったことがあったら遠慮なく教えてね……」
「食事はたりましたか。味はどうでしたか……」
「眠れましたか……」
1週間ぐらいたったある日寮監が「Aさんはなかなかきまりをまもらないところがある。」といわれた。
・ 外出時、名札を裏返さない。
・ 自分の部屋に入る時はスリッパを部屋の前におかない。
(在室のめやすになる……)
2ヶ月ぐらいたったある日母親から寮監に下記のような申し入れがあった。
「うちの子は○○学部です。○○学部とは違って勉強をしないといけないのです。二人部屋では勉強ができません。一人部屋にしてください……。」
寮監は規定を説明し、申し入れに沿うことができないことを伝えた。
それから、次々に要求がエスカレートしていった。
「電灯がくらいので変えてほしい……。」
「うるさくてねむれない……。」
「クーラーが効かない……。」
「ベッドがこわれている……。」
そうこうしているうちに前期が終了し、夏休みになった。
夏休みは、帰省する学生もいるため、帰省しないで寮にいた場合は1日500円徴収するようになっている。そこでその旨を伝えたが、そのことをなかなか理解してもらえず……ついには、寮監に「お前は寮監だろう。お前のつとめは何かいってみろ……。」
とすごんできたので寮監は怖くなったが、冷静を保って対応したとのことであった。
…… その後も、いろいろトラブルがあり、そのつど寮監は真摯に対応したが、誠意が通ぜず、ついに自主的に退寮することになった。
集団生活になじめなかったこと、「一人部屋に」の要求を聞き入れてもらえなかったこと等が原因とおもわれるが……。今後このような現象が多発すると思われる。今回はカウンセリングの知識があったため自分たちが落ち込むことなく対応できたようにおもう。