わたしのおすすめ本 by 徳永博子
老人が社会に対してほんとうは求めているけれども決して口に出さないもの、それは「いたわり」である。いたわりは保護することとは違う。
大里へき地診療所の図書で見つけた本です。人と人のつながりや心の会話ができるまで、まだまだと考えさせられます。
堀秀彦『石の座席』 1984年 朝日新聞社 ¥1,000+税
「石は決して、自らあたたかくなることはない。老人も心が少しでもあたためられるには、石のようにまわりの人のあたたかな心が必要だ。人間はぬくもりに一種の安らぎを感じる。しかし、あたたかな石のぬくもりは時間とともにさめていく。生命の火はいっきょに消えるものではない。老年とは、このような石のあり方ではなかろうか。穏やかな老人の死とは、このようなものをいうのであろう。」(本人より)
石の座席 (朝日文庫) | |
堀 秀彦
朝日新聞社 1987-08 by G-Tools |
わたしのおすすめ本 by 青山高志
多湖輝『催眠の不思議―眠っている潜在能力を目醒めさせる心理技法』 1999年 ごま書房 ¥893
「この本をお読みいただく前に、二つのことをお願いしておきたいと思います。一つは、催眠は摩訶不思議な奇術でもなければ、非科学的な神秘現象でもないということです。催眠は、人間の無意識の世界に働きかけて、自分でも気づかなかった優れた能力を発揮したり、思いもしなかった心の傷を発見するための心理技法の一つなのです。(中略)もう一つのお願いは、誤った使い方をして、他人を自分の思うように操ろうとしたり、間違った方向に誘導しないでいただきたいということです。」(まえがきより)
この本は、催眠に興味・関心がある方にとっては誤解や偏見を解く上でも、また心理療法発展の歴史を知る上でも、少しは参考となる入門書と言えるでしょう。
催眠の不思議―眠っている潜在能力を目醒めさせる心理技法 (ゴマブックス) | |
多湖 輝
ごま書房 1999-07 |
斎藤稔正『催眠法の実際』 1987年 創元社 ¥2,520
私はこの研究会において、催眠療法をおすすめ本とまでは言えません。その理由として、今日のカウンセリングやサイコセラピーでは対面での対話を中心とする技法が主流となっていると思われることと、催眠療法自体に様々な限界や副作用が少なからず観られますし、なにせ習得するにせよ実践するにせよ時間や手間がかかると思えるからです。しかし、あえて紹介した理由は、私が以前に自律訓練法や精神分析療法の本を紹介した関連もあり、これらの心理療法を学ぶ上での前提として、これらの療法の発明や理論の確立の起源となっている催眠療法を知ることで、催眠から派生した心理療法を、より深く理解できるようになるのではないかと思ったからです。
この本は、より具体的に技法が書かれているので専門書と言えるでしょう。
新版 催眠法の実際 | |
斎藤稔正
創元社 2009-09-08 |